日々思うことをつらつらと


by joe-suzuki

犬との生活<中篇>

ロンの胴を枕に昼寝した日が懐かしい
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いつだったか覚えていないが、父は庭の隅に犬小屋を作った。犬小屋といっても、サーカスのライオンなら2頭押し込めるほどのサイズがあったのではなかろうか。前面に金網が張られ、昼間はしっかりと陽が入ってくる犬小屋は、僕と弟にとっての格好の遊び場でもあった。そして、疲れると二人してロンの胴を枕に昼寝をしたものである。あの動物特有の匂いを、時々懐かしく思う。

付近の子供たちと遊ばず、犬とばかり遊んでいた僕を母親は心配に思っていたようだ。今でもそうだが、発想が変わっていたらしい。将来に不安を感じた母は、幼稚園に上がる前の僕を知能検査に連れて行った。その時先生から、「家族は何人ですか?」と質問されたのをしっかりと覚えている。もちろん子供でも、これが知能検査というのは心得たもの。何故こんな簡単な質問をするのか不思議に思ったものだ。答えは簡単、4人である。

その時、3歳の僕はひらめいた。「そうか、これはひっかけだ」と。そして、よく考えて「5人」と答えた。怪訝な顔で「どうして5人なのかな?」と質問する先生に、「お父さん、お母さん、僕に、弟とロン!」と得意気に答えたものだ。

家に帰ってから、母に随分と怒られた。「家族とは人間のことを言うんです!」と。もちろん、僕は泣きながら反論したが・・・。IQ140を超えると「天才」と呼ばれるそうだが、たとえ検査でどんなにいい結果が出ようと、犬を家族と言い張る息子を、母はさらに心配したようだ。

後年、同じような過ちをしている子供がいるのを知った。名前は野原しんのすけ。あの漫画「クレヨンしんちゃん」の主人公である。彼も、幼稚園で家族の人数を聞かれ、犬の「シロ」を数に入れていた。僕はそんな子供だったのかもしれない。ちなみに公式HPによる野原しんのすけ君のプロフィールは、「B型。きれいなおねえさんとピチピチ・ギャルが大好き。性格は超マイペース。まわりを自分のペースに巻き込んでは、やりたい放題の天才・・・・・・」だそうだ。どこか似ているかもしれない。ま、PTAから子供に読ませたくない文筆家に選ばれないよう、気をつけたいものだ。

さて、幼稚園に上がっても僕は相変わらずだったようで、キャーキャー叫びながら遊ぶ同級生達には馴染めず、「いったい、これのどこが面白いんだ?」という顔で、遠くから眺めていたらしい。そんな友達のいない僕を、ある日、幼稚園の門柱の脇で座って待っていたのがロンだった。犬は飼い主の帰るタイミングが分かる、ちょっとしたテレバシーの能力があるらしい。だからこんなことがあったんだと思う。それにしても、幼稚園の敷地に入らず、門柱の脇で待っているとは、なんと賢い犬だったのだろう。

幼稚園から一緒に帰った子供の名前は覚えていないが、ロンと帰ったことだけはしっかりと覚えている。そう、間違いなくロンは友達以上の存在、大事な家族だったのである





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by joe-suzuki | 2013-06-29 10:36 | 犬について